辞めたて保育士のほかほかブログ

もと保育士が保育の仕事・現場について語ります

保育士が恐れていること

恐れていたことが、起きようとしています。

 

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『「5人まで」が、厳しいルール』と何をもって言っているのでしょうか。

 

1歳児クラスでは、月齢の低い子は、歩ける状態で入ってくるとは、限りません。

その子たちを含め、地震津波、火災等の災害の際、1人の保育士が6人連れて逃げる事が出来ると思いますか?

1人の保育士が6人を連れて安全に散歩が、できると思いますか?

5人も6人も一緒ですか?

いいえ、一人一人に寄り添う保育をしている保育園では、5人と6人は保育に差がでます。

 

私は、すべての年齢のクラスの担任をしたことがあります。

1歳児クラスは、歩けるようになったばかりで足取りも危なげなのに、動き回ります。友だちと関わりたい気持ちは、あるのに言葉も十分ではなく、関わり方も一方的になり、噛みつきが一番多い年齢です。

保育園では、トイレトレーニングも始まるのでトイレに連れて行くのも一苦労。

おもらしも多く、濡れた衣服の処理や、床の消毒にも追われます。

まだまだ抱っこを求めることも多い時期です。

 

散歩では、まだ歩く事の出来ない子、手を繋いで歩ける子など様々、バギーと保育士との手つなぎで出かけます。

でも、途中で歩きたくなくなって道に座り込んだり、手を離して駈け出したり、保育者が行こうと思っている方向とは別の方へ行こうとする子もいます。

そしてバギーの中では、場所取りの喧嘩が始まっていたり、保育士に抱っこを求めて泣いていたり、立ちながら寝てしまう子もいます。

年度の後半に向けてバギーは、使わず、保育士、友だちと手つなぎをして散歩に出られるように見通しを持って年間計画、月案、週案、日案を考え進めて行きます。

 

食事も手づかみから食具を使い始め、食べこぼしも多く、食事の介助、食後の掃除も一番大変な時期です。

その後の排泄、着替え、寝かしつけ・・・どれ一つとっても大人の援助が必要です。

 

思い出して書いているとしみじみ1歳時クラス担任だった頃の大変さが思い出されます。

 

担任にしか懐かない子も多く、できる事が日々増え、きめ細やかな保育の眼、関わりが必要な時期です。

そんな時期ですから年間計画、月案、週案、日案とは、別に「個別」といって一人一人についての計画も毎月立てているのです。

それ一つとっても5人書くのと6人書くのでは、労力が違いますね。

この年間計画、月案、週案、日案、個別を書く時間は、特に決まった時間が取れるわけではなく、午睡の時間(5分おきに子どもが呼吸をしているかどうか一人一人チェックしながら)や休憩時間を使って書いています。

その為、書ききれず、サービス残業をしたり持ち帰りをしている人も少なくありません。

 

年度末近くになると次年度に向けて、クラスの保育士の人数を減らします。

それに対して保育士からの反発は、多い、「もうすぐ、進級して担任の人数が減るの、みんな誕生日を迎えて2歳になっているんだから、この人数の保育士で保育ができないと、来年、子どもたちも担任も苦労するんだよ」と説得して渋々、1人保育士が抜け、来年度の準備にまわります。

ここでも言っておきたいことが!保育園に春休みはありません、来年度のクラスの準備は、「ロッカーの名前」「連絡帳の名前」「タオル掛けの名前」「靴箱の名前」「汚れ物入れの名前」「出席簿作成」などなど(こんなのは、本当の本当のごくごく一部!)も保育と同時に進めていかなければならないのですよ。卒園や入園式の準備も進めていますからね!

話が横道にそれました。

 

保育士は、クラスの子ども一人一人と関わりたいと思う気持ちが強いので、クラスを抜けて、遅れている仕事をしていたいなんて思わないのです。

主任や園長に言われ、子どもたちが気になりながら渋々抜けているのです。

クラスを抜ける事がいやで、遅れてしまった仕事を持ち帰ったり、サービス残業をしてこなしている保育士も少なくありません。

 

そんな保育士は、給料なんてあげてくれなくてもいいから、一人の大人に対する子どもの人数を増やしてくれるなと思う人も多いと思うのです。

楽をするためでは、決してないのです。

子どもとじっくり丁寧に関わって、こまやか保育がしたいと思っているだけなのです。

 

私は、保育園が足りない、いや、保育園が増えても保育士が足りないと言われ始めた頃から、国はこのような配置基準を出してくるのでは、ないかと恐れていました。

横浜市が待機児童0を宣言した時も配置基準(園の広さに対しての子どもの人数を増やした)を緩めてからでした。

現場は、目に見えて大変になりました。

 

でも一昔前の保育園を考えれば当然と思う方もいるかもしれません。

昔は、もっと緩かったのです。

 

一昔前の保育は、それでも保育をしていました。

 

それがなぜ可能だったのかこの次回のブログに書いて行きたいとおもいます。